肺炎

 肺炎は昨年(2011年)日本人の死因の第3位になりました。風邪など上気道炎をこじらせて起きることもありますが、高齢者では特に食物や口腔内の雑菌が、気管から肺に落ち込んでおこる誤嚥性肺炎が問題になります。これは加齢による嚥下機能の低下や脳梗塞、寝たきり状態など種々の原因で生じます。また一旦改善しても繰り返すことが多いのが特徴です。当科の緊急入院では最も多い疾患ですが、原因菌がわかりにくい場合には気管支鏡検査で肺の奧にある痰を採取し、産業医科大学呼吸器内科の研究室にて、菌の遺伝子検査による解明を行っています。

 

気管支拡張症、びまん性汎細気管支炎

 気管支の慢性炎症により、咳や痰が出る病気です。進行すると気管支に細菌が定着し、時々感染が悪化することがあります。感染を繰り返すと気管支の破壊がより進行し、さらに細菌が住みやすい状態になります。治療は、マクロライド少量長期投与療法(クラリスロマイシン、エリスロマイシンなど)が確立され効果をあげています。

 

肺結核

 結核菌によって起こる感染症で、人から人へうつります。耐性菌でなければ治療によりほぼ完治する病気です。喀痰検査、レントゲン、CT、気管支鏡検査などで確定診断をつけます。治療は3~4種類の抗結核剤を6~9か月内服します。当科では、感染性が低い(=排菌がない)結核患者さんの治療を行っています。

 

非結核性抗酸菌症

 非結核性抗酸菌は結核菌の仲間で、多数の種類の菌がありますが、結核菌と違って人から人への感染はありません。進行性の場合は、菌種に応じた治療を行いますが、薬が効きにくい菌が多く、治療は長期化し、治療後も再発もよく経験されます。薬物治療を開始したり終了するタイミングの判断が非常に難しいのですが、当科の外来では特に多い疾患です。一般内科では診断や治療が困難ですので、呼吸器内科の専門医での治療をお勧めします。